ロータリー青少年交換

日本留学が大きなインパクト、自分の可能性に出会えました

2013-14年度に青少年交換留学生として来日され、現在は、都立高校で英語科教員として働くメアリー・エスタ・グレース・フィリップスさんにお話を聞きました。

現在は日本でどんな活動をしていますか。

JETプログラムで東京都教育委員会を通じて、昨年度より都立高校にて英語の教員をしています。JETプログラムは、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称で、地方自治体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力で実施しています。JETプログラムは主に海外の青年を招致し、地方自治体、教育委員会及び全国の小・中学校や高等学校で、国際交流の業務と外国語教育に携わることにより、地域レベルでの草の根の国際化を推進することを目的としています。このプログラムに係わる日本の各地域の人々と参加者が国際的なネットワークをつくり、国際社会において豊かな成果を期待されています。

具体的には、JETの一環でALT(Assistant Language Teacher)と呼ばれる外国人英語等教育補助員となります。JET・ALTともにネイティブの指導者であり、都立高校の全ての学年で英語指導を実施しています。

教育に興味を持つことになったきっかけは。

アメリカでは、ハワイパシフィック大学の日本語専門課程を経て、南イリノイ大学で言語学して日本語を学びました。留学した経験から、日本語や文化、人と人とのコミュニケーションに興味を持ったからです。この南イリノイ大学でも、今の人格形成に導いてくれた出会いが2つありました。日本語学科の担当教員をしていたトヨサカ先生には、コミュニケーションの与える人への力(パワー)、フレンドリーやオープンハートという心の力を通じて、社会の一員としての貢献と責任など学ばせていただきました。活き活き生活していくためには、人には前向きな心、未来への希望や可能性の実感が必要であり、それらを伝える手段としての言語コミュニケーションが重要であるとの内容です。

もう一つの出会いは、私を理解し支えてくれる夫との出会いです。夫は私を支えるために、大学を休学し一緒に日本に来てくれています。

英語を教えている日本の高校生の印象はいかがでしょうか。

やはり高校生は若いので、言語や文化に対する吸収が早いです。授業中や休み時間、放課後も含め、生徒と交流しています。英語の授業だけでなく、文化祭など学校イベントにも参加し、生徒の皆さんと関わることができる楽しさを感じています。交流すればするほど、高校生の皆さんともお互いに打ち解け、理解が深まっているという実感があります。私自身も勉強になりますし、より日本への愛着が湧いてきます。もっと日本のこと、文化や言語、人々、歴史、食事などを知って、もっと多くの方々と仲良くなりたいです。世界中に日本のことを紹介したいと思います。

ロータリークラブの会員と関わって感じたこと。

ロータリークラブの交換留学生となり未来を切り拓くことができました。多くのインスピレーションを与えてもらい、日本での経験はどれも素晴らしい思い出ばかりです。失敗と教訓、外からも内からも成長を促してもらったこと、昨日のことのように瞼に浮かびます。

日本のロータリアンにも海外のロータリアンにも、とても親切にしていただきました。ホストファミリーは、本当の父母のように接してくださいましたし、物心両面でサポートいただき深く感謝しています。留学が終わって、再び日本に戻ってきたいというモチベーションは、その後の人生において重要な要素となりました。

後輩の方々へメッセージ。

チャレンジすることは、人生を良い方向に変化させます。世界中の国や地域、自分の知っているのと別の文化や言語に関わると、自分の内側に別の目線や視点を持つことができます。心の影響、感じる景色の違いは、新しい人生の糧であり、自身の知らない未来の自分からの贈り物です。自分の可能性に出会えるチャンスには、失敗を恐れずに飛び込んでみてください。

将来のこと、自身の展望など。

JETプログラムが終了したら、故郷アメリカのイリノイ州に帰えります。再び大学に行って、文化・言語学をもっと研究したいと思っています。並行してJLPT(日本語能力試験)認定を取得し、日本が大好きだから、可能ならばやっぱり日本に戻ってきたいです。

でも、どこの国にいたとしても、若い方々の教育に係る活動を続けていきます。いつの日か、自分がしてもらったのと同じように、今度は自分が誰かの人生に希望を与えられる人になりたいと考えています。

参考:JETプログラム

取材後記

お話を聞いていて、今の自分が世界に向けて出来ることを探し、独立性や適応性を保ちながら社会と関わっている、ご夫婦とも素敵な方だなって思いました。ニコニコと温和な笑顔と落ち着いた語り口で取材に応じていただきました。取材中も終始、ご夫婦が仲良くなさっていたのが印象的です。一緒に来日された旦那さんも、興味を持って日本での生活を楽しみ、馴染んでいこうとする姿勢で、新しい友人になろうと話しかけてくれました。たいへん好意的に接していただき、お互いに良い時間を過ごせました。塩辛など初めての日本食も、果敢に食べてもらえて嬉しかったです。

人の輪が広がる機会をいただき、ロータリークラブの良さを実感いたしました。


メアリー・エスタ・グレース・フィリップス(Mary Esther Grace Phillips)
ロータリー青少年交換プログラム

2013-14年度青少年交換留学生
スポンサークラブ:東京八王子北ロータリークラブ

1997年生まれ、アメリカ・イリノイ州出身、2021年度から東京都立町田工科高等学校英語教員

ロータリーファミリー支援委員会 委員長:鈴木 豪(東京八王子北RC)
インタビュアー:古谷 宏和(東京八王子北RC)
Rotary Family Voice 編集長:杉浦 藤一郎(東京あけぼのRC)
ロータリー青少年交換プログラムとは?
世界100カ国以上で実施されているロータリー青少年交換は、ロータリークラブによる支援の下、15~19歳の学生が海外に滞在し、言語や文化を学びながら、海外に友人をつくり、世界市民としての自覚を養うことのできるプログラムです。
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