ロータリー青少年交換

インドと日本をつなぎ、世界のためにインパクトのある活動を夢見て

2017年RYLAプログラムに参加し、現在はインド Banglore に本社を持つIT企業Infosysジャパン社にお勤めのナチケット マルケレさんにお話しを伺いました。

現在のお仕事や近況について教えてください。

インドの Banglore に本社を置く、Infosys ジャパンという会社で、ITコンサルタントをしております。おもにDX(デジタルトランスフォーメーション)にむけて、企業がSAPシステムを導入することで、紙や書類を無くせるようなプロジェクトに携わっています。

来日のきっかけを教えてください。

インドでは高校時代に、スペイン語を学び、工学部進学を目指していたのですが、当時、母国語以外の外国語を学びながら工学部の勉強との両立が難しく思い始めると同時に、英語のようにアルファベット表記のスペイン語と私の住むインドには共通点があまり感じられずにいました。ちょうどその時、高度先端技術をもつトヨタ、スズキという日本企業文化に強く憧れはじめ、大学で日本語を3年ほど勉強しました。20歳の頃、通訳者として1ヶ月ほど来日したのですが、インドで勉強するだけでは全く物足りないと痛感し、帰国したのを今でも覚えております。その後、インドのティラクマハラシュトラ大学で、日本語上級レベルコースを取得し教官の推薦を経て、文部科学省のMEXT Scholarship(国費留学生奨学金プログラム)にて、千葉大学に1年間の交換留学生として来日することになりました。当時自らテーマを選び、教官に指導を受け論文提出しました。応募の際、インドで」筆記試験の後に、大使館での面接を受けました。来日後は千葉大学稲毛キャンパスの寮での生活でした。東京から近く、今でもとても大好きな街です。大学時代にロシアをはじめとする様々な国の友人がたくさんできた事が何よりも嬉しかったです。 

実は1年くらい前にムンバイ出身の女性と知り合い、今年12月に母国Puneで結婚式を挙げる予定です。8月6日にインドで婚約式を終え、結婚の登録も終えたばかりです。挙式には日本で知り合った友人たちが何人か来てくれることになっています。結婚後は日本で新婚生活をスタートする予定です。彼女はインドで英語でサイバーセキュリティ関連の仕事をしていましたので、彼女のキャリアチェンジも大切に考えております。彼女の専門を活かせる良い日本の企業に就職する事も二人で望んでおります。私は2年前より平日は大阪、週末は東京という2拠点生活をしています。大変ですが、「できる人はどの状況でもできる」「どんな状況でも良いパフォーマンスを出せるようにしたい。」と日々考えております。今インドで彼女も日本語を学びはじめました。今後状況を見ながら日本で二人の生活をスタートできる事を今から楽しみにしています。

ロータリープログラムに応募したきっかけを教えてください。

2017年に東京杉並ロータリークラブの支援を受けRYLAに参加しました。
このファミリーボイスにもご登場の元同僚で、友人の元RYLARIANの長川美里さんよりご紹介を受け応募しました。その当時大阪に住み、近くの小豆島に旅行中の連絡でした。締め切り間際だったので、海を見ながら、楽しくビーチを満喫する友人たちの横で、一生懸命携帯で応募書類を作成した記憶があります(笑)
彼女も受講済みのプログラムで、私のことを良く知り、ITコンサルタントとして働く私にふさわしいプログラムという事で、内容への興味だけでなく、大変しっかりした長川さんからの紹介という事で、応募を決意しました。プログラムに参加すると、「リーダーシップ」については、「思うこと」と、「実感すること」が全く違うと感じました。リーダーシップについては、参加前からイメージはありましたが、今回参加した仲間たちには起業家や大学生や社会人がいるので、彼らと議論を交わすことにより、社会にリーダーがどれだけ必要か、そしてその事が大変重要であることがわかるようになりました。RYLAは単なる3日間のリーダーシップ勉強会であるだけではなく、その後繋がった人たちと交流を続けられるのです。私は出会ったロータリーファミリーたちと今でもつながっています。個別に連絡して、自分の強みであるITの話もできています。プログラム参加で終わりではなく、そこでネットワークが始まり、その後もお互いを助けあえるような仕組みではないかと思います。

その時の学びが今の仕事にどのようにつながっていますか?

皆さんと同様に私も仕事の上で辛いことは沢山あるし、人生で悩むこともあります。そういう時にこそ「決断力」が必要となります。RLYAで学んだ3つのことが「思考力」「決断力」「行動力」でした。この3つがとても重要です。人生の悩み、相談場面や仕事でもこの3つが重要です。今関わる仕事でも、20人以上の多様性あるチームメンバーを抱えプロジェクトリーダーとなり、仕様設計などモジュール作りを担当し、プロジェクトを進めているのですが、しっかりやれてきているのは、RYLAで学んだこれらのおかげであると思っています。コンサルタント系の仕事をしているので、日々締め切りが厳しく、短時間で進めるタスクが沢山出てきます。そのような時に、目標「ビジョン」を頭の中にきれいに作りあげ、どのタスクを達成すれば無事目的までゴールできるかということを事前に明確にする必要があります。タスクを達成すれば、ゴールできるという「ビジョン」をまず明確にします。やるべきタスクや不要なタスクを決める「決断力」も問われます。またそれを遂行する「行動力」が必要となります。タスクに自分以外の複数人のメンバーがいる場合、優先順位の付け方で議論することがありますが、その際に相手に納得してもらい、合意をし、タスクを進めていく必要があるのです。そのようなことが当時のRYLAの学びを活かせていると感じます。

千葉大学在籍中の論文テーマは「日本の会社文化 日本で働きたい外国人について」でしたが、元々日本の企業に興味があったため、外国人が日系企業で働くために、どのような事をしなければいけないかを考えました。私の研究の結論としては、日本語力がまずは必要で、それから日本独特な企業文化、時間を気にする文化、独特な上下関係、敬語など言葉に気をつけることなどを、外国人は勉強する必要があると思います。良いと感じるところは文系出身の方でも理系エンジニアの仕事ができるなど、日本企業で働くメリットもあると感じています。今の仕事では日本語と英語を利用しており、日英併記でメールを書いたりしています。私の場合オフショア(インド、ベトナム等)の方と仕事をするので、SAME PAGE 同じページという言葉で言いますが、仕事をするために、皆で同じ情報を共有する必要があるのです。企業文化として、IT業界においてもそうですが、情報共有やコミュニケーションを大切にしています。情報ギャップが発生すると大きな問題や失敗につながるケースがあるので、どの言語を使っても、コミュニケーションを日々大切にしています。また先の話の通り、情報ギャップを少なくするために、日々リーダーが明確な「ビジョン」を持て、チーム内にどのように共有しているか、そのチームのゴールや目的がはっきりしていることが大切で、そうすれば小さなミスも起こらないようになると感じています。

2017年にRYLAに参加したときは、ちょうど入社後1年3ヶ月くらいの時でした。大学院卒業後今の会社に入社前には、就職説明会などにも参加したのですが、外国人向けの別枠での採用があることを知りませんでした。説明会などを通じて分かったのは、インドは実績成果主義、すぐに自分のスキルを活かして働き、結果を出すことが大切ですが、日本企業面接では5年後に何ができるか、どのようにしっかりした職業についての考えを持っているかと問われたことに驚きました。自身の5年後のキャリアや業界について、意識や考え方のインタビューが多かった。日本語でコミュニケーションギャップも、当然ありました。

数社応募し、NTTデータグループ会社に内定をもらったとき感じたのは、あくまでも私の人生の大きな目標に向けての第一歩1ステップがクリアできたという思いでした。
次のステップを今は目指しています。

今後の夢について教えてください。

今は会社員をしていますが、このままではなく、もっと世の中にインパクトを与える仕事を目指しています。私自身 日本語や英語、クロスカルチャーなど、ロータリーの良い活動に若い頃から関わらせていただいているので、将来起業して、14億人もの人口を抱えるインドの母国の人々へ、日本の良さをしっかり伝えて、社会を良くするべくつなげたいです。そして将来は自身がロータリアンとなりロータリー活動ができるようになりたいです。いつの日か、ロータリアンである素晴らしい方々と一緒のロータリーバッジをつけて一緒に座ってみたいです。今は中々時間的に難しいですが、私が起業した際には是非可能であれば参加したいと考えています。これまで様々なボランティア活動に呼びかけていただけたことを大変嬉しくおもっておりますし、これからも時間がある限り参加したいと考えておりますので、どうぞ宜しくお願いします。

2024 年 東京都立保谷高校 「国際理解のためのワークショップ」国際講師として参加

これからこの記事を読む若い後輩たちへのメッセージやアドバイスをお願いします。

ロータリーに関わると、夢ある方や、夢がない方も「夢が見つかる場所」だと思います。世の中には大学や職場といった組織では同じ事をしている人が集まっていて、そのような場所は多いです。しかしロータリーでは多様性があり、日本だけでなく海外の方、大学生も社会人もプログラムに参加し、その方たちと交わる事で、自分の夢や、夢の方向性がわかると感じました。

それともう一つには、友達の輪が広がります。フレンドリーな新しいネットワークができます。良い人が多く、仲間ができるから、それだけでも十分価値があると思いました。
ロータリーは同じメンバーだけ会うというより、むしろ様々な背景をもつ新しい方と出会える場です。行動力がある私のような若い世代が興味を持ち、参加しやすい社会貢献活動が展開されると参加しやすく感じます。

RYLAのプログラム参加を、今の若い人たちにもオススメします。今でも若者の声を政治家に伝える活動をG7 G20やユースサミットを通じて続けていますが、ロータリーのこの独特なプログラムを受ける方は、今まででベストな3日間を過ごすことができると強く思います。


Nachiket Markale

India Pune出身 
2017-18年度 RYLArian
スポンサークラブ:東京杉並ロータリークラブ
インド プネ出身。千葉大学卒業。
Infosysジャパン勤務。Senior Consultant

インタビュアー:中前 緑(東京米山ロータリーEクラブ2750)
Rotary Family Voice編集長&ロータリーファミリー支援委員会 委員長:杉浦 藤一郎(東京あけぼのRC) 

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